末期症状



みうらじゅん最後の講義をeテレで見て笑った。
妻にも面白いよと教えたけれど、再放送がない。
と、諦めていたら YouTube で見られる。

みうらじゅん最後の講義  (YouTube に行くよ)

速度が変えられるので、1.25倍から1.5倍速で見るといいよって。
ママ、こんど休みのとき見てね。
考え方次第で楽勝の仏教だなと笑える。


なんと言っても痛快なのは
自分じゃなくても、理想の自分を盛ればいい。
そういう自分を抱いて消えていけばいいのだと理解する、哲学だ。

笑って良い趣味みたいな番組だったが、母のことを思い出していた。
この番組のように、重圧を軽くいなして生きていた。
不良だった私を抱えて、めげることはしなかった。




2013-07-16 最愛の人.JPG

月に一度ではあるが、金曜の仕事(授業)が終わると新千歳の最終便で関空へ。
2泊3日、墓参り以外は出歩くわけではなく、ずっと母の話を聞いていた。
あるいは、テレビを見たり仕事もするが、そばに母は座っていた。

そばにおるだけでええねん。
それが口癖だった。
しかし3年後、転倒骨折、入院、骨折、入院、最後は施設にて。


どう振り返ろうと、正しい生き方なんてない。
バリアフリーにしたから札幌の家に来てほしかったが、拒まれた。
同居を拒まれたら、出来ることをするしかなかった。




2016-07-07.jpg

施設に入ってしまうと激変するのだが、出来ることをする。
花が、伏見稲荷が見たいというなら、写してきてノートPCで見せた。
私の自己満足に付き合いながら、母は楽しそうだった。


この1年後に母は亡くなる。
誤嚥性肺炎、ありがちな終わり方だった。
不良時代だけは母に悪いことをしたなと思うが、孝行息子だと盛ることにする。


攻撃的な父や、暴れん坊の不良息子には柳のように対処していた。
田舎育ちを笑う親戚は母を悪く言うことが多かった。
半世紀以上、母の悪口を聞いてきたが、私も母と同じく気にはしなかった。

母が腹を立てることはなかった。
ただ、執拗に母を悪く言われると、それでも私の親だよと釘を刺した。
人を悪く言うのは楽しいのだ、でもね、その口撃は益をもたらさない。




クラゲが見える.jpg


 「人皆良く語る」と言い、人は自分にとって都合のいいようにしか語らず、少なくとも幾ばくかのバイアスはかかっている。というようなことを、谷沢永一が何かのエッセイで書いていました。自分では事実を書いているつもりでも、やはり誤魔化したり嘘をついたり、ズルいことをしているのかも知れません。

 客観的な事実はいつでも「そちら側」にあり、「こちら側」にあるのは常に、主観的な思いでしかないのでしょう。それでも自分の中にあるものを伝えるという、精一杯の努力はしておこうと思っています。

 おだやかでありたい。ただそれだけで、戦闘モードの人、攻撃的な人とは可能な限り接触を避けなくては、自分が壊れてしまいそうに思い、人生の最後は逃げていこうと思います。




いい加減に見える「みうらじゅん」が言うように、自分を盛るのは得策だろう。
母も「ごもっとも」「仰るとおり」の人で、抗うことはしなかったように思う。
ただ、人は人、自分を守るには理想の自分を盛っておこう。



腹が立つものどもから逃げ、距離を置き、鶯の鳴き声を聞いてる方がいい。
お節介や押しつけは避け、鶯の鳴き声を聞いていたい。
そう、最近の仕事BGMは、YouTubeで鶯の鳴き声にしている。




ファイト!

この記事へのコメント

  • HOTCOOL

    今日は”母の日”ですね。
    私も亡くなった母親にもっと出来ることがあったなって今になって思っています。
    2024年05月12日 04:45
  • 青山実花

    お母様、
    ご苦労も多かったと思いますが、
    晩年は、tommyさんの親孝行で、
    お幸せだったと思います。
    とても賢いお母様だったと、
    想像します。

    みうらじゅんさんの番組、
    面白そうですね。
    あとでゆっくり見てみます^^
    2024年05月12日 08:41
  • dojita

    芯の強いお母さまであったかと見受けしますが
    合掌
    2024年05月12日 10:16
  • 向日葵

    お母さま。素晴らしい方だったのですね。
    人の言うことに惑わされず、軽くいなしながら我が道を行く。
    簡単そうでなかなか出来ない事だと思います。
    そしてそのDNAは先生にもそのお嬢様型にも。。
    2024年05月13日 02:56
  • JUNKO

    母の死んだ年を4年も過ぎようとしています。今だに夢に出てくる母、今なら母のよき相手になれたのにと思います。同居したのが唯一の親孝行でした。
    2024年05月13日 15:32
  • Inatimy

    こっちには鶯はいないけど、
    シジュウカラやクロウタドリなど、鳥の声はいいですよね。
    緑いっぱいの森の中で聞くと腹が立っていたことを忘れさせてくれます^^。
    2024年05月13日 16:23
  • ナツパパ

    現在進行中で母の介護中です。
    tommy88さんのようにはいかないのですが、それでも、今の母と向き合いつつ暮らしています。この歳になって、初めて等身大の母と向き合えたように感じています。
    2024年05月14日 11:01
  • kenji-s

    最後の講義良かったです
    2024年05月15日 18:17
  • yokomi

    お母様は柳のようにしなやかに生きてこられたのですね。不良息子も最後は親孝行息子。良いではありませんか(^_^)v
    人生の最後は逃げて....みたいです。隠遁生活(^_^;)
    2024年05月22日 22:26